賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査
【参照】国土交通省ホームページ
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000163.html
昨日6月30日に住宅新報さんがツイートされた内容でこちらを知りました。
国土交通省による、
「賃貸住宅管理業者登録制度における未登録業者の登録促進や登録制度の見直しなど、賃貸住宅管理業の適正化につなげることを目的 」として
①賃貸住宅管理業者
②家主(貸主)
③入居者(借主)
に対してアンケート調査が行われたようです。

私の仕事上では、①~③全て必要な情報ですが、
勝手な印象で、御覧いただいている方に真剣な回答者の方がおられたら申し訳ありませんが、
②の家主さんの回答が1番真剣に回答されているように感じます。
そのため、今回は②のみ、取り上げさせていただきます。
1)調査対象の年齢については、60歳以上が34%で最多、50歳以上が58%を占める P1、P7
50歳以上で現在貸家業をされている方は、古くからの地主さんの家系で、バブル期に先代が田畑に賃貸物件を建設し、相続で取得された方が多いのではないかと思います。
私が実際にお会いする家主さん方も70歳前後の方が多く、打ち合わせ等の窓口は50代のご子息とさせていただくことが多いです。
一部、12~19歳の貸家業をされている方から0.2%=約8名の回答があったことに少し驚きました(笑)
※相続により取得された方の割合が32.1%
2)回答者の所有戸室は「2~10戸」が43%で最多、「1戸」が33.3% P5、P9
その他のデータからみても、サラリーマン家主さんも比率が高いように感じます。
※居住用に取得したが使用しなくなった、投資目的、老後の備えで取得された方が43%
今後、古くからの地主さんであった方々の相続でそのご子息が相続され、処分されるケースが見込まれます。
勿論、「守り続けたい」と仰られる方もおられますが、近頃は相続の発生による相続税の支払い・代償金の支払いのためや、維持・管理に面倒を感じられる方が増えておられます印象です。
1,2のいずれにしましても、今後賃貸住宅管理業者が主としてお相手していく方々の回答となり、
貴重な情報だと感じています。
3)サブリース以外の物件で管理を依頼している割合は56% P12
募集業務について依頼の有無はありますが、約44%の方が自主管理で行っておられるということに、
驚きや新規管理取得のビジネスチャンスを感じます。
その中でも、18.5%の方が全てご自身で行っているということには大変驚きました。
4)管理業務の内容と実施者 P13
賃料等の集金業務(賃貸住宅管理業務処理準則上の基幹事務)、修繕積立金の管理等、
お金に関することはご自身でされている家主さんが多いことに驚きました。
それだけ、賃貸住宅市場における「管理会社」がまだまだ信用されるに足らない存在であることを表します。
このデータからは、「客付=入居者の獲得」と「最悪の場合のための依頼先を確保」するために管理会社に「賃貸管理」を依頼されている方も多いんだろうという印象を受けました。
実際に、P14で自主管理されている方の理由の12.5%が「信頼できないから」となっています。
5)管理業務を業者に委託している理由 P15
様々な理由が回答されていますが、
・トラブルの回避(各項目50%以上)
・手間に関するもの(各項目20%以上)
非常に明快な理由でした。
その反面で、P16にあるトラブルの経験については、賃料滞納に関するトラブルが23.6%で最多です。
6)結論
他にも様々なアンケート内容の記載がありましたが、
私が気になったのは、特に上記5点でした。
「委託契約」においては、当たり前のことだとは思いますが、
①面倒・手間なことを回避するために管理委託契約を締結するにも関わらず、実態としては顧客が及第点をつけられる管理業務を提供できている会社が少ない
②実感としては、減っていると思っていましたが、まだまだ自主管理をされている家主さんが多い
ということが分かりました。
これから、大手業者からの人の流出により、不動産会社が乱立することが想定されます。
実際、私の勤めるエリアでは、この10年間に不動産業者の数は3倍程になったように感じています。
空室確認で聞いたことのない会社から電話があったり、家主さんのもとへDMが他社から届いていたり。
業界用語で言う「抜いた」「抜かない」の世界に入っていきます。
逆に言えば、中古物件において市場シェアを取りに行くチャンスにもなっています。
全ての家主さんに対して満足のいく管理は提供できないかもしれません。
個人的には、せめて及第点をいただけるような賃貸管理を目指しております。
お亡くなりになられる際にご家族に引き継がれる不動産のことを心配される方も多いと思います。
「あいつに任せておけば、まぁ満足ではないけど大丈夫か...」
ご売却になる際に
「あの人ともうやりとりすることはないんだなぁ」
このように思っていただけるように日々精進していこうと思っております。