IT重説(Web接客)

2020年02月23日

【参照】国土交通省 ホームページ

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000092.html 

重要事項説明書等の電磁的方法による交付にかかる社会実験


今回は「IT重説」についてお伝えしたいと思います。

IT重説とは、世界最先端IT国家創造宣言(平成25年6月14日閣議決定)を受け、不動産取引における重要事項説明に際して、対面原則の見直しが検証対象となり、宅地建物取引業法第35条に基づき、宅地建物取引士が対面で行うとされている重要事項説明をインターネット等を利用した対面以外の方法によることについて検討が重ねられました。

動画と音声を同時にかつ双方でやりとりができること、や録画・録音ができること等、様々な要件がありますが、平成27年~28年において、約1,000件の社会実験が行われ、平成29年8月からIT重説に関する規定が国土交通省より通知されました。

(具体的な要件は、上記国土交通省URLにアクセスいただき、「賃貸取引にかかるITを活用した重要事項説明 実施マニュアル」(以下「マニュアル」)をご参照ください)


IT重説ツールについては、昨年から勤務先でも導入されました。

実際に活用したのは先月に1件、明日さらに1件を行う予定です。

どちらも遠方(群馬県、長崎県)の顧客で、当日中に申込をいただけない(申込書受領はメール等による)方でした。


従来であれば、再度1時間程度の契約のために来店いただくことは日程的にも移動費用的にも難しいのですが、出来るだけご来店をいただくように促しておりました。

また、グレーな方法(取引士証コピー及び書面送付・電話による説明)や、申込時に仮の重要事項説明を対面で行い、訂正箇所があれば訂正箇所を後日電話等で説明する等して行っていたこともありました。


不動産業者によっては、重要事項説明を行わず、重要事項説明書書面に署名・捺印をさせるだけの業者も実際にはあります。

顧客にとってはそのほうが楽なのかもしれませんが、「○○(不動産会社名)では郵送でしてもらえると聞いた」等、顧客や業者の楽な方向へ業界が流れていたことも事実かと思います。


活用してみて感じたことを以下、記載しております。


IT重説のメリットとしましては、大きく3つありました。

①遠隔地の顧客への対応が可能

当日重要事項説明が出来ない場合、再度来店いただく等の負担が軽減されること

②ライフスタイルにあわせた日時調整が可能

働き方改革により就業時間についての制限が多くの会社で行われていますが、実際には帰宅が早くても19時~20時となり、なかなか不動産会社へ出向けない顧客も多い中、自宅で受けられることで顧客にとっても、説明を行う業者にとっても時間的メリットが大きい

③法人契約のトラブル防止

借主は法人となるため、内覧者(入居予定者)への説明の必要は原則ありませんが、文字通り重要なことを内覧時に伝えられず、入居後にトラブルとなることを防ぐため、社宅代行会社等は入居者への説明を義務付ける会社が出てきました。

転勤等で遠方から来店される内覧者は、次回転居地にお越しになられるのは入居予定日等、なかなか重要事項説明を受けていただくことができず、実際に説明や署名・捺印が得られるのは鍵渡し日になる等、こちらもグレーな説明となり、契約書類のやりとりも円滑に進みませんでした。

その場合でも、時間さえとっていただければ内覧者への説明が可能となりました。


逆にデメリットとしましては、大きく4点ありました。

①スカイプ等のアプリのダウンロード・インストールが必要

顧客のPCやタブレット、スマートフォンに説明を行うアプリケーションのインストールが必要です。

手間に感じられてしまう場合や、時間通りにログインしてもらえない等があります。

②相手方のPC環境にあわず、不具合が発生し、予定の日時に説明できない

実際に起きたケースですが、こちらが映像の受信をできていても、相手方が音声しか受け取れないと仰られることがあります。

要件として、”双方が動画・音声をやりとりできること”とありますので、相手方のPC環境にも左右されてしまいます。

③説明自体に時間がかかる

通常、賃貸居住用物件の場合は30分~45分もあれば、顧客からの質問事項も含め、説明は完了します。

しかしながら、IT重説の場合は相手方が説明している項目を確認できているかどうかを都度確認しながら行うため、60分~120分かかります。

実際に、先日行った事務所契約の場合は、説明書自体への添付書面も多く、双方ログインから120分近くかかりました。

④対面で行うよりも、顧客に理解してもらえているかが判断しづらい

宅地建物取引業法に照らし合わせれば、必要事項を説明し、顧客から質問が特になければ最悪寝ていたとしても、重要事項説明は完了します。

しかしながら、「そのような説明はなかった」「そのような認識ではなかった」「理解していなかった」等とトラブルに発展するケースが対面であっても起こります。

そのような中、③のように時間をかけて行い、何度も「ここまで大丈夫でしょうか」「何かご質問はございますか」と確認をして、特にないと言われたとしても不安が残ります。


このように、メリットもあればデメリットも同じ数だけありました。

しかしながら、メリット①を補えると思えば、活用すべき重要事項説明の方法だと感じます。

デメリット部分の改善方法については、

・顧客への分かりやすいIT重説の案内方法を検討すること

・内覧時や入居申込時にIT重説についての説明を行うこと

この2つが大切だと思っています。

件数を重ねて慣れていくしかない部分です。


IT重説について、今後回数を重ねていき、おすすめの方法があれば再度お知らせしたいと思います。

また、逆におすすめの方法があればご教示いただけましたら幸いです。

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