テナントの賃料減免・猶予
※本ブログも個人的な見解を掲載しております。
近頃、テナント(店舗・事務所の借主の意)の賃料未払い及び減免請求が貸主に対して行われていると伺うことが増えてきました。
テナント側がインターネット等で情報を収集し、貸主に迫るケースや、お願いされるケースが増えているようです。
相談内容としては、
・5月分賃料が支払われておらず、どのように(どのタイミングで)請求したら良いか
・テナント側から賃料の減額依頼を受けているがどうしたら良いか
上記の内容です。
先般、4月17日付の国土交通省事務連絡「新型コロナウィルス感染症に係る対応について(補足その2)」についてお知らせいたしました。
国の方針としましては、基本的には受け取る側(貸主)に対して譲歩を求めるものとなっています。
税務上のお話では、
・テナント賃料を免除した場合の損失は「損金算入」 ※覚書作成等の一定要件有
・令和2年2月~10月の任意の連続する3ヶ月の事業(貸家業)にかかる収入が前年同期比30%~50%未満に減少した場合は1/2、50%以上の場合は全額免除(固定資産税等)
上記のような制度がございます。
上記30~50%未満等の数値については、「連続する3ヶ月の事業に係る収入がー」と記載があります。
テナント+住居の収入も含まれていると思われますので、簡易的に計算したところ、余程固定資産税評価の高い建物・立地でない限りは貸主にとってはマイナスにはなれどプラスにはなることはないかと存じます。
(※正確な情報については、ご担当税理士の方にご確認下さい)
結果として、譲り合ってこの時期を凌ぐことを考えていかなければならないのだと思います。
貸主がテナントに対してとれる内容としましては、
①賃料支払の猶予(以下「猶予」)・・・○ヶ月分の賃料等を○ヶ月で分割納付
②賃料の減免(以下「減免」)・・・○ヶ月分の賃料等を○万円減額、免除
上記の方法が主になってくるかと存じます。
①の猶予については、
●貸主が指定して期間及び分割支払金額を設定する
●テナントに期間及び分割支払可能額を設定させる(返済計画表の作成)
上記のように対応ができるかと存じます。
計画通りに進めば最終的にはプラスマイナスゼロになります。
ただ、実際には売上回復見込み等もたたないであったり、他の支払に回されてしまう可能性がある等、頓挫してしまう可能性が高い気もしております。
②の減免については、
●貸主が指定して○ヶ月○万円の一部減額を行う
●貸主が指定して○ヶ月分の賃料を免除する
●テナントの支払可能額を聞き取りして減額金額を決定する
上記の通りかと存じます。
最終的に、売上が減少したテナント側から求められるものは「支払の免除」を受けられることになってくるかと存じます。
日本政策金融公庫による無利子の追加融資等の制度もございますが、申込をしてすぐに融資を受けられるのかという問題であったり、月次返済金額を結果的に増やすことになり、テナント側からはなかなか受け入れ難い内容になるかと存じます。
また、貸主・借主間の関係破壊や、倒産・破産等による支払を受けられないリスク、空きテナントになった場合の空室期間リスクを検討した場合、一部減額をとる方法をおすすめしております。
減額の割合については、物件(上記リスクの考慮)や賃料金額にもよりますが、個人的には月次賃料の20~30%を目安におすすめしております。
ex)月額150,000円の賃料→120,000円~105,000円
受ける側は少しでも高く、払う側は少しでも安く、が定石です。
心理的な部分は全く調査等はしておりませんが、上記の割合が1番交渉がしやすいと普段感じます。
例えば、礼金15万円募集に対して10万円にしてほしい等の交渉が入った場合に、12,3万円で折り合いがつくケースです。
また、これに応じていただけない場合にお断りなられても逆風評被害を受けづらい割合であると思います。
期間については、2~6ヶ月をおすすめしております。
特に根拠のある数字ではありませんが、最長でも年内いっぱいが目安だと思っております。
現状、猶予と減免については、減免が多いように感じています。
どのご相談者も迷っておられるのは減免金額と期間についてです。
もしよろしければ、上記をご参考にしてください。
また、仲介に入っていないご契約に対して直接お話合いの場に参加することはできませんが、ご相談を受ける程度であれば可能です。